Thursday, December 27, 2007

ルドゥーテ、ルドゥーテ と言うけれど

日本でもルドゥーテは割とよく知られているようで、彼の版画を専門に扱うギャラリーなどもあるようです。「バラ図譜」にしろ「ユリ科植物図譜」にしろ、中には好きな物もありますが、色調が余り趣味に合わなくて、彼に対する個人崇拝もやや鼻につくような気がします。まるで、オバさんたちのおっかけのようです。ルドゥーテ本人の画像も色々あるようですが、個人的には、すましたのは気に入らなくてWikipediaにある加藤茶のような奴が気に入っています。

そのルドゥーテ原図による版画ですが、まあいくつか持っています。オーギュスタン・ピラムス・ド・カンドル著の多肉植物の物が5枚ほどと「北米樹木誌」からのものがやはり5枚ほど。Cereusの板は結構しましたが、それ以外は、そんなに高くはなかったと思います。どうしてもルドゥーテがほしい、というひとはアメリカ版の「北米樹木誌」のものがお薦めですね。地味なものが多いので、値段も安めです。フランス版のものはもっと高いのではないでしょうか? 単なる憶測ですが、いまだに売っているのを見たことがないので。

バラ図譜も、初版のものは高かめだと思いますが、八つ切り版ならばそんなには高くありません。直接母のところに送ってもらったので、現物を見る機会はありませんでしたが、二版のものを$57くらいで落札したことがあります。某サイトでは、いかに後刷りのものが品質が劣った物かを力説していますが、複製品を売っていたり、違う板の初版と二版を比べていたり、フォリオ版じゃなくて八つ切り版でむきになるところで、まあ信憑性 というか説得力がかなり減るような気がするのですけれども。それ以前に、八つ切り版で286,800円というのはすごいなあと思います。Rare Prints Galleryさんでは「美花選」初版のRosa Gallica Aurelianensisが$2,600、「バラ図譜」フォリオ初版で安いものは$3,600で売っていますからね。色もこちらのほうが派手というかあでやかですし。

Wednesday, December 26, 2007

ドラピエ「愛好家のための植物画集」


ドラピエが著者ですが、ここでは挿絵の原画を描いたパンクラース・ベッサと彼の作品を紹介してみたいと思います。彼は一般に、ルドゥーテの弟子して知られていますが、その他にもCornelis van Spaendonckにも一時、師事していたことがあるそうです。ルドゥーテとのコラボレーションも多く、両者の作品は「北米森林樹木誌」や「Description des Plantes cultivees à Malmaison à Navarre」などで見ることができます。ルドゥーテはマリーアントワネットやジョセフィン王妃のお抱え絵師として有名ですが、ベッサ自身もベリー公妃や彼女の舅でブルボン朝最後の王であったシャルル十世の後援を受けました。

版画の手法はスティップル・エングレーヴィングですが、基本的に全手彩色。中にはかなりいい加減な塗りの物もあります(笑)。「愛好家のための植物画集」では、特に葉や茎の着色が簡易化されていて、独特の雰囲気を醸し出しています。

版画を集めだしたころは、ベッサのプリントはやや高嶺の花でしたが、それでももう25枚くらい持っているんじゃないでしょうか。慣れというのは恐いものです。正値だとベッサのプリントは$125~150くらいのやや高級品なのですが、eBayでは物に依りますが、それの1/10で手に入るものもあります。ここで紹介するのは、フランスの出品者から落札したもの。よくは覚えていないのですが、$11~12ぐらいだったと思います。敢えて名は挙げませんが、日本の某サイトでも同じ板を売っているところがあって、なんでも"各¥31、500"だそうです。着色はこちらのほうが遥かに良いですが、¥31、500はちょっとねえ。
画像はEricさんから戴きました。

Sunday, December 23, 2007

ロバート・ワーナー 「オーキッド アルバム」


アメリカ在住中のけんたきと申します。このブログでは気軽に楽しめるプリントを色々と紹介したいと思います。

初回なので、どのプリントにしようか迷いましたが、Robert WarnerOrchid Albumから一枚。これはeBayで落札したのですが、$35ぐらいだったと思います。一般に、Orchid Albumのプリントは店にもよりますが、$120~$450ぐらいでないでしょうか。額には入っていますが、複製品でも$100以上するのもあるようです(https://metropolitanmuseum.org/store)。非メンバーは$110だって。ひどいね。

ちなみに、原画はJohn Nugent FitchFitchは叔父のWalter Hood FitchとともにCurtis's Botanical Magazineでも活躍しました。Orchid Albumは全11巻で約400図。大半数は銅版画ですが、途中で石版画に変わります。

プリントの値段は、保存状態、原画や版画の着色の出来具合、製本、それに描かれているもの、でかなり値段が変わってきます。このプリントが割合に安かったのは、花の色が基本的に白だからでしょう。白やクリーム色の花の版画はかなり安めで落ちる傾向があります。

ここで描かれているのはLaelia superbiens ですが、Schomburgkia superbiensのほうが通りがよいでしょう。Laelia 属や近縁属の分類も最近かなり変わったので、個人的にはよく分からないことが多い、というよりついていけない気がするのも事実ですが。

画像はPanteek (www.panteek.com)さんから戴きました